美容院

半年ぶりに、髪を切りに行った。


本当なら、父Jの仕事が休みに入るまで我慢するつもりだったのだが、
このところの暑さで、どうしようもなく頭が蒸れてしんどくなってしまった。
髪を洗うのも、乾かすのも、時間がかかるし、その分、風呂上りの授乳が遅れてしまうので、
効率の悪いことこの上ない。
親友のチェルシー(仮名)が仕事を休んで付き合ってくれるというので、
好意に甘えることにした。


チェルシーは、以前勤めていた会社で知り合った。
とにかく個性的で、会社中の有名人だった彼女が、実は母Yと同じ歳で出身県も隣ということがわかり、
いつのまにか親しくなっていたのだった。
いや、ちょっと違うな。
所属部署は違っていたのだけれど、お互いに責任者だったので、
会議やら出張やらで顔を合わせる機会も多かった。
特に、シンガポール出張は思い出深い。
2人とも店舗の開店スタッフとして派遣されたのだが、1週間ひたすらホテルと店舗の往復で、
連日徹夜だった。
意識朦朧として開店日を迎えたんだよなあ。
その時、一緒に派遣されたチームのひとりは、その会社の社長になっている。
思えば遠くへ来たもんだ。


そんなこんなでチェルシーとは、プライベートでも旅行をしたりする仲になり、
お互い会社を辞めてから、1年ほど一緒に住んでいたこともある。
チェルシーは、母Yが人生最大の窮地に陥った時、献身的にサポートしてくれた。
あの恩は一生忘れるまい。
彼女は、性格から体型に至るまで母Yとは間逆で、家事全般を完璧にこなす。
独身にしておくのは、本当にもったいない。
チェルシーと一緒に住んでいた頃は、毎日が快適だった。
父Jと結婚していなければ、今も一緒に住んでいたことだろう。


話がそれてしまった。
髪を切っている間、チェルシーにゲンキを抱っこしてもらって、1時間弱で散髪は終了。
時々ぐずったけれど(美容院ではおむつ換えができなかった)、人見知りもしなかった。
さすがチェルシー、ゲンキと同じ重さの猫を飼っているだけある。
チェルシーの愛猫は7kg。狸と見間違えられた体験を持つ。)
美容院の後、クレヨンハウスでゆっくりランチを食べた。
ゆっくりといっても、動きたがるゲンキを片手で押さえながらだけれども。
落ち着いて食事やお茶ができるようになるのは、あと何年先なんだろうなあ。


チェルシーからゲンキへ、ハワイのお土産にミニサイズの布絵本をいただいた。
トラ柄のふわふわした表紙を開くと、英語で「ふとっちょネコ」とか「おしゃれネコ」とかが書いてある。
ゲンキも気に入ったようで、興味深げに触っていた。
どうもありがとう。