そろそろ限界

ゲンキが、自分の髪の毛を引っ張りはじめた。
右手を後頭部に回して、かいているのかと思ったら、
むんずと髪の毛を鷲掴みにして、引っ張る。
当然、何本か髪の毛が抜ける。


いかん。これはいかん。
暑いのか、かゆいのか、わからないけれど、とにかくいかん。
赤ちゃん筆を作りたいので、もう少し伸ばしてから床屋さんに行こうと思っていたが、
そろそろ限界だ。
授乳中は、頭からおでこから玉のような汗が吹き出ているし、
遊んでいる最中も、ぽたぽた垂れてくる。
汗疹が出ていないのが幸い。
今のうちに、さっぱり切ってしまおう。


というわけで、明日11時に床屋さんを予約。
この茶色い髪の毛、生まれた時から生えていたんだよね(胎毛といいます)。
長髪ゲンキとも、今日でしばらくお別れかあ。
しみじみしながら、お風呂で念入りに髪を洗う。
床屋さん、バリカンで刈るって言っていたから、ゲンキは泣くかもしれない。
機嫌がよいことを祈る。
女の子と間違えられる日々よ、さらば。


そして、父Jの疲労も限界に近づいている。
顔が相当煮詰まっている。
1ヶ月以上、休みなく働いているんだものね。
今日は自宅作業だったのだけれど、昼食も食べたくないと言う。
気分転換したほうがいい、と午後に散歩に連れ出す。
親子3人でぶらりと成城へ。
3人での散歩は、本当に久しぶり。
ゲンキも嬉しいらしく、ずっと父Jの顔を見ながらニコニコしている。
よかったねえ。
父Jも少しは食欲が出たようで、ベーカリーでパンを買って帰宅。
夜は、鶏肉のガーリックソテーを作って激励。
父Jの表情も和らいだようで何より。


人間、やっぱり食事が基本だ。
3度の食事をバランスよく、しっかりいただいていれば、ひどいことにはならない。
数日前の新聞の広告で、週刊誌の見出しに
「食事作りを放棄した親たち〜朝は菓子パン、夜はカップ麺」
と書いてあった。
まさか。それじゃ、給食しかまともな食事ができないじゃないか。
給食のない学校だったら、昼食まで買い食いになっちゃうよ。
勉強どころか、まともに育つわけがない。


母Yが会社員だった頃、仕事が忙しくて炊事する時間などなく、
体の90%がマクドナルドとデニーズで出来ていた時期がある。
平均勤務時間13時間、平均睡眠時間4時間。
帰宅後も、パソコン通信(当時インターネットはまだ普及していなかった)で情報収集。
休みは週に1日あるかないか。
そんな生活が2年近く続いて、睡眠障害にめまいを併発し、
決定的に体を壊した母Yは、会社を辞めた。
完全自炊に切り替えて、体調が回復するまで、3年近くかかったっけ。


ゲンキの離乳食も、自分たちの食事も、手間暇はかけられなくても、
育ちのいい食材をシンプルにいただくのが、我が家の信条。
え?手抜き?
そうとも言う。
ともあれ、家族で食卓を囲んで、美味しくいただけるのが一番です。