子は宝

子宝とはよく言ったものだ。


我が家には、なかなかコウノトリがやって来てくれなくて、しばらく不妊治療に通った。
不妊治療といっても、内容はほとんど検査だ。
もっぱら痛いと評判の卵管造影やら、風疹の予防接種やら、とにかく時間がかかる。
必要な検査をひと通り終えた時には、余裕で半年以上経っていた。
結局、原因不明で、人工授精もトライしたけれど不発。
通院を打ち切ろうかどうしようか考え始めた頃に、ひょっこりゲンキが来てくれた。
先生も「なんで自然妊娠したのかしらねえ」と不思議がっていたくらいだから、
まさに授かりものだった。


妊娠中は、比較的順調なほうだったと思う。
初期から鈍痛が取れなくて、ずっと早産防止の薬を飲んでいたり、
同じく初期にひどい腹痛に見舞われて救急に駆け込んだり、
トリプルマーカーの数値が高くて、羊水検査を勧められたり(受けなかったけど)、
それなりにいろいろあったけれど、それでもゲンキは頑張って生まれてきてくれた。
今でも本当に感謝している。


母親がどんなに望んでも、どんなに頑張っても、
赤ちゃんが無事に生まれてくるかどうかは、神様しか知らない。
ゲンキには、同級生になるはずだった2人の友達がいた。
お母さんたちは、体調不良に悩まされながら一生懸命頑張ったけれど、
赤ちゃんたちは、この世界よりも先に天国へ行ってしまった。
そのひとり、Tちゃんは出産予定日だったその日にゲンキを抱っこして、
「抱っこさせてくれてありがとう」と言って涙を流した。
あの時の彼女の顔を私は一生忘れない。
時間に追われる毎日の中で、気持ちに余裕がなくなってしまう時もある。
そんな時は、その手に我が子を抱けなかった彼女たちの分まで、
ゲンキをしっかり育てていかなければ、と思う。


のだが、しかし、今日も湯上りパイ後、ハイパーゲンキに変身。
ここ数日、グレムリンのようだ。
頼むから、母Yを寝かせておくれ、ゲンキよ。